まちづくり・フェスティバル
都市生活クリエータブログ

防犯と都市(古田マリ)

古田マリ(Furuta Mari)/建築家

犯罪をデザインで防ぐという環境防犯設計の調査研究中。
犯罪者は他人に見られるのを嫌うが、こういった心理をうまく利用して
犯罪が起こる確率を低くするのが防犯設計の基本的な考え方。
領域は建物から都市計画まで広い範囲に及ぶ。

放火犯がやってきた

2007年2月15日

はじめまして。
古田 マリと申します。
インテリア設計、海外向けの和紙インテリア製品のデザイン輸出をしております。本業では先月末にパリのメゾン・エ・オブジェという展示会に参加しまして、おかげさまで好評のうちに終わりました。
またこうした仕事と平行して、ライフワークとして防犯設計の研究や調査をしております。

さて、このブログをはじめるに当たりまして、
なぜ環境防犯設計という分野に私が興味を持ったのかという経緯をお話しようと思います。

かれこれ3年ほど前になります。
その日はよく晴れた10月の午後で、
私は打ち合わせのためにお客さんの家に行きました。
60代のその女性は、玄関に立つ私に向かって早口でこう言いました。
「大変だったのよ、昨日。」

聞けば、夜の7時すぎ頃、買い物で留守にしていたところ、
その御宅の庭に火の手が上がったそうです。

幸いなことに、すぐそばに住んでいる親戚がみつけてくれて、水を掛けて火を消し止めたので大事には至らなかったということでした。
火をつけられたものは、その御宅の息子さんのサンドバックでした。
改装工事をするのに邪魔だったので、たまたま庭に出しておいたのでした。

その御宅は新宿の中央公園から徒歩圏内で
前面に小さな遊歩道のある場所でした。
お客さんのお話によれば、ホームレスが遊歩道のベンチで寝ていたりすることもある道だとのこと。

昼間や夕方にしか現場を訪れない私にとって、ホームレスの存在はちょっと意外でしたし、
静かな街区の一軒家の庭のサンドバックが放火されたのは驚きでした。
一般に、放火されるようなもの、例えば新聞紙やガラクタは、外の目のつくところには置くなといわれていますが、実際、私のクライアント宅が放火犯の標的になるとは全く想像しませんでした。

サンドバックを燃やすにはそれなりの準備が必要です。

そのお家は住宅密集地域にありましたし、時間も夜の七時台、人通りがまったくないわけではなかったのです。にもかかわらず、その家の前を通りかかった誰かが通りがかりに庭にあるサンドバックを目にして、火を放つことを思いついた。そして戻ってきて放火する意図を持って庭に入り込んできたのです。
目を閉じてその犯人のことを想像すると、気持ちが悪くなりました。

設計者としてこれは見逃すことの出来ない事件でした。
サンドバックを外に出せと指示したわけではありませんが、
自分の関わった工事で惨事となる可能性のあることが起きたわけです。

それまで意識したことはありませんでしたが、
建築現場というのが、泥棒の狙う資材置き場でもあり、
新築であれば無人であるということで犯罪発生の可能性を高める場所であることも、
身をもって分かるようになりました。
このことが契機となって、私はどのようなデザインにすれば犯罪がその場所で発生する確率が減るかといった欧米での研究に興味を持つようになりました。

たまたま10年ほど前に私はイギリスに滞在したことがあります。
日本に比べ泥棒のスケールが大きく、夏休みにバカンスに出かけると
その留守中にトラックで家の中のものを全て盗まれてしまうといったようなお国柄です。

当然コミュニティ全体の防犯意識が高く、「泥棒よ!皆で監視しているぞ」といった泥棒向けのシールを見かけることも多く、住宅地の中の私道もわざわざ凸凹をつけて、
スピードを出せないような工夫もされていました。
出かけるときは近所の人に一声掛けるといった習慣もありました。

それに比べると、残念ながら今まで平和で安全であった日本は市民の防犯意識が低い状況です。
何か少しでもこういった環境を改善するお役にたてばと考えており、
これから主に欧米で行われている様々な取り組みを御紹介していきたく考えております。

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コメント

古田さん
いよいよ始まりましたね。連載期待しています。

平松さん
色々とどうも有難うございます。
今ひとつ、まだ投稿の仕方が分からなかったりしますが、細々と続けて参ります。