伝統と文化
都市生活クリエータブログ

東京の坂道逍遥(井手のり子)

井手のり子(Ide Noriko)/東京地縁社会史研究所 理事 研究員

東京に点在する1000近くの名前をもつ「坂」。江戸の頃に名付けられたものも多く、以来、往来する人々を見続け、今も変わらずそこに佇んでいます。それぞれの坂の背景には時間とともに幾重にも塗り込められた文化が息づいています。そうした共有の文化遺産である「坂」が語り継ぐ歴史、文化を東京の地形の襞に入り込んで、足裏に起伏を感じながら一味違ったお散歩をご紹介します。

拝啓「神楽坂」様

2007年2月15日

トントントン、ヨッコラショ!っと、階段を上りきり地上へ。
飯田橋B3の出口から私の「神楽坂」は始まる。そこにはいつもペコちゃんが待っていてくれる。しかし、今は様子が違っている。ペコちゃんの姿が無い。不二家の一件のとばっちりを受けて、閉じられている店の張り紙が痛々しく思える。
 今、「神楽坂」が東京から全国区へといろいろなことで賑やかに発信されている。
メディアが一番有名な「坂」に押し上げている。
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 一番の理由は何と言っても、倉本聡脚本によるTVドラマ「拝啓父上様」の放映だろう。
これを観た時「神楽坂」はまたブレイクするだろうな・・と確信した。案の定、街は見るからにいつもと違った人種(?)が迷路巡りを楽しみ、路地は非日常の様子を呈していた。
 街の人に言わせると、「テレビの影響で一過性でしょう・」とのことだが・・・。
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 最近 次々にオープンする再開発後の街は巨大な空間に圧倒される。物珍しくて訪れても、一度行って話しのタネにするぐらいで、再度訪れたいとはあまり思わない。
そうした無機的でメタリックな街に飽きた人達が、対極にある古き時代の面影を残す街として、気を紛らわせるために押し寄せてくるのだろうか・・。
 
 「神楽坂」には皆を満たす何かがある。
新と旧  和と洋 ハレとケ 粋・ハイカラ 喧騒 静寂 頑固 寛容 アカデミック ノンアカデミック 端正 猥雑 上品 ちょっといただけないわネ・・というものが「神楽坂」という万華鏡の中の片になってうまく廻っている。地に脚が着いていて街の匂いがある。新しい街には無い「地縁」が生きている。それが人を惹き付ける魅力となっているのであろう。
なにせ東京の坂のなかでも、神楽坂は坂名が最初に書かれた江戸の地誌「紫の一本」30坂に含まれているのだ。時間が勝ち得たものにはかなわない。明治時代は山の手きっての繁華街だったのだ。
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 さて、ドラマ「拝啓父上様」はそうした神楽坂の街の匂いを実にうまく捉えて描かれている。さらにドラマを支えているのは背景に 路地、階段はもとより、「坂」も登場する街の佇まいの魅力であろう。
この界隈には牛込台に上る坂がいくつかある。
軽子坂 理科大の坂 庾嶺坂 逢坂 など神楽坂ついでに巡ってみるとよい。
http://www.asahi-net.or.jp/~xq3m-ogw/Saka/kagurazaka.html
  
 先日は「逢坂」が登場していた。
 
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一平クンが彼女とイイ感じになる場面である。まさにふたりが“逢う坂”で、この「逢坂」を設定としたのは心憎い。「逢坂」は私イチオシの坂で別名「美男坂」ともいうのだから、さらに二宮クン(一平)にはぴったりだ。
 でも、ここは悲恋の物語の「坂」なのだ。さて、倉本さん、それを知っていてここを使ったということは彼の恋の結末を暗示させているのだろうか?
「逢坂」の謂れは知らないでおいた方が良かったかもしれない。
 
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 拝啓「神楽坂」様
ドラマを通して、あなたを遠くから応援しています。
さて、私の大好きなあの喫茶店が閉じられてしまうとか・・・街の灯りがまたひとつ消えてしまうようでとても残念です。新しいものが次々と入ってくるのは仕方ないとしても「荒らされ」てしまうようで悲しいです。
あなたの抱えるいろいろな問題が倉本さんの筆一本で解決できるならば、どんなに良いことでしょう。頑張ってください!              かしこ

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コメント

神楽坂は、わりとよく訪れる坂です。個人的には軽子坂や逢坂、地蔵坂、芸者新道など周辺の坂や街並みが気に入っています。「大好きな喫茶店」というのは、入り口が2個所ある喫茶店のことでしょうか。いろいろな事情はあるのでしょうが、さみしいことですね。

そうです。あのお店は神楽坂の顔でもありましたから
ファンが多かったのですがね・・・。旧いミシンがテーブルにあったりして、ギャラリー風の2階のつくりも好きでした。
とても個性的なお店だっただけに残念です。何でもお金で買える時代になってしまいましたが、あのお店が経てきた時間はお金では買えないですものね。

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