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ファッション情報・企画室「コルクルーム」のティーチイン

ファッション関係者が集うコルクルームで毎月開催されるティーチインは、話題の人を講師に招いてのセミナー。このブログでは、2007年以降の講演録を掲載していくとともに、次回ティーチインのお知らせなどをしていきます。 

2006年の流通業(小売業)の総括と2007年の展望(3/3)

2007年6月27日

●ファッションチェーン店の世界レベルでの競争のなりゆき

もう一つは、世界レベルでのファッションチェーン店の競争の状況です。果たしてユニクロは1兆円企業になれるのかを展望します。まずファッションチェーンでは、GAPが2兆円に達していると思えます。次にリミテッド、H&M、ZARAと売り上げを伸ばしています。ファーストリテ−リングは6位で、2004年度の売り上げでは3,839億円ですが、2006年の8月期の決算を見ると、売上高は4,408億円になっています。2007年の8月の予想ですと5,355億にいくとユニクロは予想しています。

しかし、上位5社が伸びていないかと言うとそうではなくて、それ相当に伸びている訳で、ランキングですと、上がってもせいぜい5位くらいになるのではないかと思います。スペインのZARA(インデックス)はサプライチェーンの確立で、ファッションチェーンの中では突出して良くできています。上位4位までの競争力は非常にタフです。

その中で「ファーストリテ−リング」は仮に予想の数値をクリアしたとしても、そう簡単には上位3位までには、まだまだ頑張りが必要です。どの企業も虎視眈々と日本のマーケットを狙っており、何らかの形でマーケティングをしています。例えば、IKEAも長い時間をかけて日本のマーケットを調べています。それらを踏まえると、どこも何らかの形で足掛かりをつけていると言えます。
 
ファーストリテ−リングについて、最近の中で1番良くまとまっていたのは、繊研新聞の記事10回シリーズでユニクロ(all about UNIQLO)というシリーズです。
まず1回目は「1兆円企業への挑戦」。次にMDについて3回のシリーズで構成しており、「進化しなければ生き残れない〜今の空気、時代性を商品に」と言う事で、銀座の店舗ができてから、時代の空気をどう取り入れるかを非常に注意し始めたと言えます。二つ目に「仕掛けて根こそぎ取る〜スキニ−ジーンズの襲撃」で、どれだけの割合をユニクロで展開するか、今までの定番思考からすると大変な冒険だったとしています。

ここからユニクロは、ユニフォーム型のカジュアルからある種のファッション性のあるカジュアルに転換していきました。最後に「キーアイテムとスタイルで勝負〜世界統一の商品構成を作る」とあり、マーチャンダイジングの話として良くまとまっていました。次に商品の企画です。2回目のテーマで「常に企業と生産のせめぎ合い〜大量販売予測に公式なし」とし、「強者連合で画期的付加価値を〜来秋にも原糸開発の商品を」とあります。これは東レと組んでフラットな関係を作っていく事で、極めて新しい英断だと思います。そして東レは、過去にもユニクロと大きな取引きをしており、約束したら投げ出さないと言うユニクロの良さと契約に基づき、パートナーシップを組んで来ました。

最後のテーマは、「店舗運営」について3回のシリーズでふれ、今後の戦略のカギとなっています。まず「能力、人数で底上げが必要〜経営に物言う店長の育成」とあります。4,000億円前後の売り上げで足踏みをしている状態に危機感を感じ、英断を下したとしています。経営に物言う店長と言うのは、店長の中にもランクの最上位に位置しており、自分の判断で商品を仕入れ、売り切る責任を持つと言う体制をとっており、この記事で関心があるのは、新しいファッション性のあるものを買っていくのは若いお客であって、その若いお客はユニクロだけで買い物をする訳では無く、ユニクロに定着はしない。その裏で、40〜50代のお客が離れているという観察を記述しています。これは、含蓄のある観察だと思います。

この事からユニクロはまだ順調であるとは言えず、店舗運営においてもまだ試行錯誤が必要です。次に「どこでも売れる実例作る〜大型店から変わる店頭」で、ロードサイドストアがベンチマークとして大型店の売れ行きの中から、立地、店長、スタッフを参考にして、それぞれを売れる店舗にしようとしていました。

最後に「ファッションをどう売りこなす〜屋台骨支える郊外路面店」ですが、エレクタ−社の棚をほとんど取り去っています。かつて、マネキン等は置いていませんでしたが、今ではラックに積むだけではなくマネキンやディスプレイ什器を置く事で、ファッションのテイストやスタイリングを仕掛けるビジュアルマーチャンダイジングを試みています。

そして最後のテーマとして、「海外事業」にふれています。昨年の10月、ニューヨークのソーホーに面積1,000坪の店がオープンしました。それに続き12月に上海に約800坪と約1000坪の店舗を出しました。英国で失敗したのは、小面積の出店でユニクロ自体の良さが分ってもらえないという理由があげられていました。ニューヨークも、ソーホーの前にニュージャージーに何店か出店していました。ここでも失敗しています。

小さく出店してもアメリカの厳しい競争レベルのなかでは、ユニクロのアピール力は出ませんでした。そこで、思い切って巨艦店を作り、お店のデザインにはインテリア界で話題の片山さんを起用し、店内の中央にマネキンの陳列をする等インパクトのある売り場づくりで、ソーホーの看板には、カタカナでユニクロの表記をするなどのアピールもしています。変わろうとする意欲は感じられますが、それをどのように相乗効果としていくのかはこれからの展望次第と思われます。そこで、参加者のコメントも聞かせてもらいたいものです。
 
 
 
 
●ユニクロは1兆円企業になれるか(出席者参加討論)
 
◇デザイナーから見ると、安心して着られる素材の良い肌着という意見は聞かれるが、新しいデザインとしてはまだ試行錯誤で、これからどう変化させていくのかが問題である。

◇ユニクロで、賢い買い物をする事を消費者がどの様に選択する か。商品を買ったところ、ウエストが緩んだり型くずれした事がありました。良いところを選び取って利用する必要があります。

◇私は売り上げを大きくする事が良いことだとは思わず、評価はできませんが、近所の店舗を見てもあまり欲しいとは思いません。店員教育やサービスの体制を作る事の方が、まずは重要だと感じます。

◇数字から言うと、他のチェーン店も伸びているという状況で世界的に戦っていかないと、イオンのように幾ら目標を掲げていても落ちてしまうことがあり得るのです。ユニクロという企業が世界に通用する企業になり得るのかという観点から見守ることが重要です。ここで欲しいのは、ニューヨークにオープンしてからの情報がまだないことです。一般誌が取り上げるのは話題性の観点で、我々が知りたいこと、つまりどれだけ売り上げているのか等が入ってきていません。

◇やはり中途半端は良くないと思います。イギリスで失敗したのもそこにあるのでしょう。量で勝負するのであれば、海外に巨艦店を出す事で目標に達する事もできるかもしれませんが、ファッション性やクオリティーを上げるとなると、今以上の苦労をしないと伸ばす事は出来ないと思います。

◇ライフスタイルやターゲットを含めて設定することが必要であると感じます。

◇かつては、ボトムの上代価格が2,900円でした。現在は3,900円で1,000円アップしています。それを主婦感覚でみると、他の店で買う方が良い、と離れていってしまいます。この3,000円台と4,000円台のギャップがどのようにお客にフィットしていくのかが難しいところです。流行のスタイルを売り出す事で、一般的なデザインで買い易いものがなくなってきていると思います。サイズ対応がしっかりしていますが、シルエットに関しては難しい選択になります。

◇よりオシャレ性を取り入れていこうとしているのは間違いありません。

◇アメリカには多くの人種がいて、それだけ体型の違いや好みが人それぞれ異なりますので、そこにどれだけ対応できるかが問題だと思います。

◇ソーホーは、狭いところで高いものを売る傾向がありますが、ユニクロの様に広い店内で安いものを売る事で、魅力的になるのではないでしょうか。まずは観光客のお土産として利用されるのも良いかなと思います。

◇3ヶ月経過していますので、そろそろアメリカでの今後の展開についての声が聞こえてきても良い頃でしょう。


(終わり)

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