

防犯と都市(古田マリ)
犯罪をデザインで防ぐという環境防犯設計の調査研究中。
犯罪者は他人に見られるのを嫌うが、こういった心理をうまく利用して
犯罪が起こる確率を低くするのが防犯設計の基本的な考え方。
領域は建物から都市計画まで広い範囲に及ぶ。
EUの犯罪への取り組み
暑いですね。とはいっても、今年は東京ではまだ35度を超える日はないので、いつもよりは凌ぎ易い夏なのでしょう。
さて今回はEUで行われている防犯のことを取り上げます。
2001年にEUは防犯ネットワック(EUCPN)を作ることを決議しました。EU各国は窓口となる担当者を決め、防犯のためにお互いに協力し合いことを約束しました
具体的な目的は、
1) 防犯の優れた実践例を見つけ、EU国家間で知識と経験を分かち合う。
2) 防犯活動についての情報を集め評価する
3) ネットワーク内のアイデアや情報の交換を促進する
4) EU国家間の接触と協力を進める
5) 防犯についての地域および国家戦略を進めることに貢献する
6) 会議やセミナーを組織することで防犯活動を推し進める
等です。
EUCPNの活動の一つにヨーロッパ防犯賞(ECPA)があります。防犯で成功したプロジェクトの優秀賞を競い合うというものです。
応募要項の中で、タイトル、説明、目的、方法、評価法(どのように、誰によって)、結果などをいわゆる5W1Hで書き出すようになっています。
例えば2006年の優秀賞はデンマークの「リングステッドの実験」です。
この実験は、3つの事実から出発しています。第一点は、若者のリスクを伴う行為(タバコやドラッグ、飲酒など)を止めさせるための従来のキャンペーンや情報提供、教育は、効果がほとんどないということ。第二点目は、複数のリスク行為は相関関係があること。第三点は,子供たちが他の同級生のタバコやドラッグ、アルコールの利用について誤解をしていることです。つまり、子供たちは自分の同級生たちは実際よりももっと多くそういったリスクを伴う行為をしていると錯覚しているということです。
このプロジェクトでは、2つのことを実験することが目的でした。(1)他の同級生が実際よりも多くリスク行為をしているという誤解を解くことが可能か(2)子供のこの誤解を取ることで現実のリスク行為の発生率を下げることが出来るかということです。対象とするリスク行為としては、データが取りやすい喫煙が選ばれました。
結果として、
(1)については44%ダウン(2)については38%ダウンという結果になりました。
誤解を解く短いセッション(4時間)がリスク行為防止に効力を持ち、一つのリスク行為に絞ったセッションが他のリスク行為を止めさせる波及効果があることが分かりました。
伝統的なやり方よりずっと効果的であることが分かり、デンマークでは、従来の非行防止策をやめ、この実験で行われた方法を使うようになってきました。
今回の方法は、場所や環境を変えるのではなく、従来とは異なる手法で非行に手をそめさせないように人を教育するというやり方です。日本でも取り入れると良いのではないでしょうか?
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