

ファッション情報・企画室「コルクルーム」のティーチイン
ティーチ・イン報告 藤岡 篤子さん ファッションジャーナリスト
大変お待たせいたしました。会報10/15号です。
☆ティーチ・イン報告☆
■藤岡 篤子さん ファッションジャーナリスト
テーマ:「2008年春夏パリ・ミラノコレクション報告」
●インビテーションカード
デザイナーから届くインビテーションカードの特徴の一つは、 「モダンアート感
覚」です。例えば、壁の落書き、タイポグラフ ィ、カラフルな平面構成、アニメ等
があります。実際、来年の春のポイントにも「モダンアート感覚」はあげられていま
すが、インビテーションカードの時点でそれを感じさせます。プリズム風のプラステ
ィックのバッグにインビテーションカードを入れて送られてきたものもあります。ま
た、ドルチェ&ガッバーナでは、クリストバル・バレンシアガが好んでいたと言われ
る、ガザールという素材 (平織りのカーゼで横糸を張ったもの)を、インビテーショ
ンカードに1枚覆ったものを届けてくれました。つまり、何か一枚皮膜の様なものを
通して、プリズム感を出しているのです。このように、インビテーションカードの上
に、更に曇りガラスや紗のような効果をプラスする手法は、洋服と同じ傾向にありま
す。
●カラー
カラーは、前シーズンの黒に代わって紺色が出てきています。ミッドナイトブルー
やコバルトブルー等の深いブルー系のバリエーションが豊富です。単純に「空」といっ
たような色ではなく、海底の濃い青と緑が揺らいだような感覚の色彩です。ツモリチ
サトでは、コレクションのテーマが「海底」でしたので、海藻等、海中に漂うものを
モチーフにしていました。シャネルでは、「星空」。ミッドナイトブルーに星が散っ
ているイメージです。このように、今シーズンの紺は自然界からとられた色が中心に
なっています。昨年の主流だったクラインブルーは、色自体は今シーズンも継続して
出ていますが、それよりも一段と自然の色に近くなっています。
モノトーンに関しては、黒だけではまったくトレンド性がありません。例えば、ピ
カソの絵のような目を描いてみたり、エッシャーのだまし絵にも見えるイラスト風の
鉛筆画を合わせたりと、モノトーンなりにグラフィックで面白さを演出しています。
色で重要なことは、モダンアートのカラフルな色です。ただ、トレンドのブライド
カラーばかりに目が奪われがちですが、実は、成熟したミネラルやサンドカラーといっ
た色も登場しています。展示会に足を運んでも、そのようなカラーが多く出ているこ
とが分かります。やはり、盛夏やゴールデンウィーク近くになると、カラフルな色が
主流となりますが、春からの立ち上がりでは、鉱石のようなベージュ系や洗練された
濁りのないピュアなグレーも重要になります。テクスチャーでの3D効果、素材によっ
て少しずつ色を変えた配色も出ています。ミラノで先シーズンから評判になっている
6267[セイ ドゥエ セイ セッテ]という2人組のブランドがありま す。ベージュ
系の配色で、異素材を組み合わせています。グレージュは、グレーとベージュを組み
合わせた硬質で透明感のある色で、輝きのある素材に用いられています。ボッテガ・
ヴェネタでは、曇り空のようなライトグレー。ドルチェ&ガッバーナは、白の中にグ
レーとベージュを手書きで色を落としています。ミネラルカラーは同系色の配色が多
いです。
今シーズン新しかったのはジル・サンダー。ブルーとオレンジの補色の配色に、グ
レー系のオーガンジーを1枚かぶせることによって全体を同質化させています。春か
らは、クールカラーで甘めの印象が強くなります。色数は多くありませんが、基本は
同系色であること。ライトブルーからライラック、少しおちたピンク系というクール
な配色はとても新鮮に見えます。ルイ・ヴィトンやマウリツィオ ペコラーロでその
配色が見られました。
モダンなビビットカラーがたくさん出ています。今シーズンの主役は、ディーバ
(diva:歌姫)のような華やかで強烈なオーラを放つピンクです。ディースクエアー
ド等で登場しています。今回のピンクで重要な点は、色幅が非常に広いことです。ト
レンドカラーでも、単色使いで色の表情があまりないもの、強烈なオペラピンクから
フローズンピンクまでを使ったものと二種類あります。ピンクも濃い色と薄い色の組
み合わせが今シーズンの基本になっています。グッチでは、ピンク同士のアイテムを
組み合わせた、今までのハイファッションではあり得なかったような使い方をされて
います。紫が多く出ていることもあり、紫に寄ったピンクもありました。
ピンクに続いて重要なのはオレンジです。ジル・サンダーでは、ピンクとオレンジ
を組み合わせています。ルイ・ヴィトンでは、オレンジの配色を基本としています。
ここでも、今まで見られなかった配色が、今シーズンはたくさん出ています。ビビッ
トではありませんが、落ち着いたブライトカラー同士の組み合わせも目立ちました。
ピンクとオレンジでも、彩度を落としてスポーティに組み合わせたり、上にパーリー
な素材を一枚被せたりすることによって、コントラストを目立たなくさせたもの等、
組み合わせ方に工夫を凝らしています。
強烈なイエローを使ったのはグッチ。アクリリックイエローというアクリル絵の具
でペイントしたかのようなフラットな印象を与えています。ピンクのようなニュアン
スはありませんが、イエローをトレンドカラーとして徹底的に使用しています。アク
セントカラーとして踏まえておくのも良いでしょう。コム・デ・ギャルソンやランバ
ンで は、配色せずに、大きな面積で使用しており、今シーズンのイエローの特徴の
一つです。アクセントカラーとして用いていたのはモスキーノやディースクエアード
です。
次はターコイズ。ブルー系やグリーン系まで、幅広く出ています。今シーズンのト
レンドの一つに「エスニック」があるので、やはり、ターコイズは欠かせなくなるで
しょう。コム・デ・ギャルソンのコバルトブルー、ニナリッチのミッドナイトブルー
は、グリーンがかった色を入れながら、揺らいだ印象を出していて、新しさを感じま
した。
シーグリーン等、グリーンもブルーに寄った色が多く出ています。プラダでは、グ
リーン味のブルーとターコイズが多く使われていました。また、春には、アニスグリー
ンが出てきます。モスキーノのように単色で使うものもあれば、ブルーマリンのよう
にアニスグリーン同士で配色しているものもあります。
重要になるのはカーキ。これまでは、「若者」「スポーツ」「ストリート」の印象
が強かったカーキですが、今シーズンは、濁りも色味も少ない落ち着いたカーキです。
ズッカやスポルトマックスの他に、キャリアブランドでも、ユニフォーム感覚のスー
ツ等にカーキが多く使われています。ミネラルカラーと並んで、隠れたトレンドカラー
になるでしょう。
当然のように、パープルはトレンドカラーです。ピンク味からブルー味のものまで
のパープル系が出ていて、寒色系のみで構成されたコレクションもありました。マウ
リツィオペコラーロは、ブルー味からピンク味までのバリエーションで組み合わせた
ペインティング風のアイテムに、羽を付ける等して独特の個性を出していました。
コム・デ・ギャルソンはピンク味、ズッカは少しダークなバリエーションでプラム
カラーを使っています。チャコールやミディアムグレーはほとんど消えましたが、そ
れに代わるのがプラムカラーです。ジャンポール・ゴルチエやルイ・ヴィトンなどの
展示会は、プラムカラーでディスプレイを統一していました。
赤は、バーミリオン等のエスニックな色に代わって、チェリーレッドが登場しまし
た。イエロー同様ニュアンスはありません。配色使いではなく、アクセントカラーと
言えます。セリーヌやジュンヤワタナベコム・デ・ギャルソンで使われていました。
黒は、トレンドカラーではなくなりましたが、必ず、光沢感のある素材で表現され
ています。6267は、ジャージーと織りの両方で、透ける素材に使用しています。
今シーズンはベロア素材も多いため、光沢感を一層与えています。フラットな黒では
なく、テクスチャーでおもしろさを出しています。
シルバーやゴールドのメタリックカラーは、以前に比べて減りましたが、今シーズ
ンは、「透けて、輝く」がキーワードです。素材自体に光沢感があるものが非常に多
いので、あえてメタリックカラーで表現することが少なくなったのです。それと同時
に、シャンパンゴールドのような薄くて淡い、褪せたゴールドに変化していま す。
全体的にピカピカしたゴールドはほとんどありません。シルバーも、一年前のステン
レススチールのようなものはなくなり、テクスチャーで柄のような凹凸感を出してい
ます。
モダンカラー同士のトレンドカラー配色。今シーズンは、モダンカラーをよりアー
ト風に見せていくことが重要です。ニットからジャージーまで、白黒を基調としなが
らも、ピンク、パープル、グリーン等を組み合わせる手法が多いです。マルニは、50
年代アメリカのモダンアーティスト。マーク・ロスコの代表作「カラーフィールドペ
インティング」の画風をそのまま洋服に移し替えた作品を発表しました。赤とブルー
等の補色対比も使われています。黄色とオレンジ、黄色とピンクのように、ホットカ
ラー同士の配色もありました。今まであり得なかったような配色が主流となっていま
す。
●ニュートレンド
◆ROMANTIC SCULPTURE
今シーズンの新しいトレンドは、エアリーな素材で構築的なシルエットを作ること
がポイントです。薄い素材で優しくひらひらさせるのではなく、薄くて軽い素材を何
枚も使って形をきちんと構築 し、ボリュームを出していくのです。D&Gでは、薄い
シフォンを使いながら実は胸元に鳩目でドローストリングをしています。これまでと
違い、薄いものに金具を付けたり、袖を大きくしたり、大きなフリルを付けたり、ま
たはスカートもバレリーナのチュチュのように大きく立体的に広がるフリルの連続で
あったり、薄い素材は、形を感じさせるものでないと新鮮さがありません。花びらを
形どったり、コサージュ風に大きく布を巻いたり、これまでのフリルとは全然違いま
す。クロエは、薄い襟のシフォンを躙りながら立たせて立体的にし、身頃もねじって
浮かせています。そこにプリーツスカートを合わせています。ステラ・マッカートニー
でも、シフォンをふんわりと大きく巻いてたたんでいます。このように薄い布で立体
的に作りながらも、下にもう1枚着ています。また、クロエはモダンアートの幾何柄
のものを着せていて、ステラ・マッカートニーは花柄のドレスをもう1枚着せていま
す。両者共かなり奥行きのあるスタイルです。薄い素材を何枚も重ねてボリューム感
を出すといったかたちです。
◆ART PAINTING
モダンアートからのアイディア。アートペインティングが施された洋服は、1
着200〜250万円ほどするものもあります。一つ一つ手作りですので、既製服としては
難しいところですが、このようなタッチのものは、これから多く出てくると思います。
モダンアートをモチーフにした中でも、ジャクソン・ポラックのアクションペインティ
ング、絵筆をキャンバスに向かって投げつけるように絵の具のしぶきを飛ばして描く
画風も使われています。クロエは、ブラッシュストローク(筆の勢いで描いたような
画風)、フェンディでは、ジャスパー・ジョーンズの作品「標的」を思わせる画風、
グッチはアクションペインティングからアイディアをとった、アクションフラワーを
用いています。
アニメ、コミック柄は注目です。現在は、日本のアーティスト達も活躍しています。
漫画とアニメの境がなくなり、イラストにもストーリー性があります。ミュウミュウ
では、2BY4というアーティスト集団のクリエイターが2、3人で絵柄を描いたそう
です。プラダでは、コレクション会場にもクリエイター達が絵を描いていて、不思議
の国に迷い込んだようなファンタジックな雰囲気がありました。アニメは海外よりも
日本の方が遥かに優れているので、この作風を東京ストリートでもっと出していけば
世界に打って出られると思います。
◆SAVIL ROW TAILORING
メンズ感覚です。今年の秋は、ブルゾン等が登場しましたが、サビル・ロウテーラ
リングが登場します。ランバンでは、ピークドラペルのタキシードがありました。こ
こまできちんとしたテーラリングが出てきたのは久しぶりです。着こなしは正統派の
作りのジャケットに、オーバーサイズのアイテムを合わせ、リラックスした脱力感を
出すことが、今シーズンらしいマニッシュ、テーラードの着方です。クリスチャン・
ディオールは、30年代調テーラード。ステ ラ・マッカートニーは実際にサビル・ロ
ウで修行を積んだデザイナーなので、テーラードの作りはとても綺麗です。本格的な
テーラードにガーゼのパンツを合わせています。展示会では、スーツは上下別売りに
されていますが、デザイナーの提案としては、トータルで着ることであって、レイヤー
ドではありません。イヴ・サンローランのテーマは、テーラリングとジャージー、つ
まりジャージーで作られたテーラードです。ジャージーであっても裏打ちが施されて、
肩線もピークドラペルも見事にとがっています。テーラードを徹底的に打ち出してい
ますが、パンツはスウェット素材です。一方ル イ・ヴィトンでは、オーガンジー
でテーラードを作っていました。
また、テーラードの他にも、コレクションでは、サファリスーツが少しずつ登場し
ています。プレコレクションの際に、とても気になったのが、このサファリスーツで
す。プレコレクションやクルーズラインでは、デザイナーのメッセージよりも、売れ
筋を重視したコレクションになっています。そこで出てきたのがコロニアルルックで
す。また、サファリジャケットではなく、サファリスーツで す。今シーズンはジャ
ケットを着る人が多いかもしれませんが、デザイナーの提案としては完全にスーツで
す。トータルで合わせて着ることが、今シーズンのテーマなのです。
◆GRAPHICAL ETHNIC
これまでのエスニックと違うことは、全てが民族調ではなく、タッチとしてエスニッ
クであること。アクセサリーや羽根、フリンジといったものが加わることによってエ
スニック感を演出していま す。今回は、ここにグラフィックな要素がプラスされ
ています。モダンアートのアートペインティングもその中の一つです。マウリツィオ
ペコラーロは、キャンバスに羽根を付けた作品をドレスにしたものを出しています。
ジャストカバリはアフリカンプリント。これまでのアフリカンと言えば、黒、白、焦
げ茶にアースカラーといった重い印象でしたが、今シーズンは全く違います。黒、白、
そして赤、ピンク、ライラックといったフェミニンな色を使用していま す。柄と
してはアフリカンでも、色は軽やかなものになっていま す。エトロでは、モロッ
コ風のアクセントをアート感覚に取り入れたバッグを出していました。
ネイティブアメリカンの要素も、若い層の人気を得ると思いま す。フリンジを
使ったアイテムが増えています。今までの、裾を奇麗に切り揃えたものではなく、と
ても長くなっています。膝下丈のフリンジブーツやサンダルも数多く出ています。サ
ンダルは、ブーツ風に後ろにジップが着けられていました。これはなかなか新鮮なア
イテムになりそうです。バルマンやマウリツィオペコラーロで も、通常より長い
フリンジを使用しています。その他、インディアンを思わせる鷹の刺繍、羽根とビー
ズを合わせたもの、ホットカラー同士の組み合わせもポイントです。また、ネックウェ
ア周りの小物が多く見られました。エトロのサマースカーフは、マフラーのように、
ドライな感触でボリューム感があります。春先のアクセントとして付けると可愛らし
いと思いました。
◆70's RHAPSODY
セブンティーズラプソディ。70年代風のフラワーチャンドラーの雰囲気です。D&G
やズッカといった若いブランドに多く見られました。展示会で商品を見て驚いたのは、
全てバッチワークで作られていたことです。小花柄のパッチワークは、70年代のヒッ
ピーを思わせます。ヒッピーの要素を取り入れながら、ガーリッシュで清潔感を出す
ことが今シーズンのポイントです。また、このラインで、マキシやミディが出始めま
した。それにデニムを組み合わせる等しています。フェイスペインティングやロング
ネックレス、ヘアバンド等の小物は、面白さを感じさせます。小花柄のチュニックに
小花柄のパンツ、カフタンも被るのではなく留めて着るもの、とバリエーション豊富
です。日本の展示会は、タイダイの絞りのTシャツがたくさん出ていて、とてもカラ
フルでした。イラストの入った柄物のジーンズにメタルの鋲やフリンジが付いた、装
飾的で真夏にも着られる小さいベストがありました。エスニックにベストは欠かせま
せん。アクセサリー代わりにもよいのではないでしょうか。
●シルエット
◆LIGHT BARREL
バレル型、樽型のように中が広がったシルエットが多いです。グッチは、アシンメ
トリーや軽く広がったシルエットが印象的です。マルニやジャストカバリでは、丸く
広がって少ししぼんでいくシルエットも見られました。丸く広がったシルエットの他
に、真四角なものもあり、新しさを感じます。
◆Y-LINE
ボディコンシャスの流れもありますが、上から下まで、きつく締めたものではなく、
肩から袖にかけてボリュームを出した、Y字のシルエットです。ヴェルサーチのドレ
スは、肩から袖がフレンチ風に出ていて、下が奇麗に絞られたものでした。シャネル
も、トップスにボリュームを持たせ、下をスリムにしています。
◆TENT LINE
テントラインは、少し変化を見せました。大きく直線的に広がるラインではなく、
丸味をおびたものです。大きく広がっていても、ヘムラインにはバンディングが施さ
れ、横にステッチを入れることで、大きく広がりすぎずに丸く留まります。
◆FIT & FLARE
ベーシックとなったフィット&フレアーも、新しく進化し、腰回りが非常に大きく
張り、通常のものよりフォルムが出ています。マルニでは、ウエストを絞ってもオリ
ガミ風に畳むことで、広がる分量が大胆になり、また違ったフォルムを生み出します。
平凡に見えても、張りのある素材で大きく広がっています。ドルチェ&ガッバーナで
は、張りのあるジャガード、グッチでは、腰回りが大きくなったプリーツスカートが
見られました。
●素材
◆3D EFECT
3Dエフェクト。立体効果を出すことです。マウリツィオペコラーロのスカートは、
薄いオーガンジーを切りっぱなしにし、まるで真珠貝の内部のように重ねたものです。
厚みはあるけれども、軽い印象を与えます。マルニは、オブラートのような薄いスパ
ンコールを重ね、光の感覚を面白く感じました。バーバリープローサムで は、3D効
果のある素材をたくさん使い、コートにはプレッセという素材をプリーツのような加
工をして使っていました。一種のジャガードと言えます。ステラ・マッカートニーは、
バッグや靴にいたるまでキルティングのモチーフ使いを施しています。ボッテガは絞
りのような効果を出していました。
◆ORGANDY & LAWN
アウターを透ける素材で作るデザイナーが非常に多かったです。ドルチェ&ガッバー
ナのコットンブラウスは、ナチュラル感のあるシワ加工がポイントです。60年代風の
クロッシェ感が登場していました。
◆CROCHEET & MESH
白く透ける素材が多いので、そこにクロッシェ感が入ることで、ロマンティックか
つフェミニンな雰囲気が強調されます。大きなモチーフをつなげる等して、メッシュ
は張りのあるものが使われています。
◆JERSEY & SWEAT
ジャージーやスウェットの使い方が変わりはじめ、多く使用されていました。また、
ジャージーで形を作ることにも力が入れられていました。ディースクエアードは、天
竺ジャージーをドレスやスーツにまで使っていました。プラダでは、ジャージーをチ
ェックで表現する 等、今までに無いタイプを出しています。
◆JAQURD & BROCADE
3D効果の流れの中で、ジャガードやブロケードが使われるようになりました。ボッ
テガ・ヴェネタでは、凹凸感のあるはっきりした素材を使っています。コム・デ・ギャ
ルソンのアフリカンプリントにも凹凸感がありました。D&Gは、ゴールドのジャガー
ドでスーツを提案しています。シャツを出した着こなしは、やはりリラックス感を感
じます。バレンシアガは、ジャガードの中でも、一番凹凸感のあるクレポンを使って
います。今シーズンのバレンシアガは、クリストバ ル・バレンシアガ黄金時代から
アイディアを出し、40〜50年代のアーカイブから20種類近くのプリントを復刻させて
います。クリストバル・バレンシアが愛した素材、クレポンにプリント、更にハンド
ペインティングを施しています。遠くから見ると、真珠玉を貼付けたようですが、実
際にはすごく凹凸感があります。
◆TAFFETA
張り感も重要です。今シーズンはサテンよりタフタ。ルイ・ヴィトンのカラータフ
タ、マルニのタフタスーツは、張りとふくらみ感がありました。
◆PRISM
後加工やフィルムヤーン使い、透けて輝いた素材が多いです。プリズム効果と呼ん
でいます。パーリーな白濁した効果があったり、軽いラミネート、糸自体にフィルム
ヤーンを入れてあったりという加工が見られました。ドリス・ヴァン・ノッテンでは、
ビニールに加工を施して光沢を出しています。デザイナーは、コートと言うよりも、
新しい花柄を見せるために、乳白色にしたと話しています。中に花柄や配色のあるも
のを着る上で、コートを透明感のあるものにしています。マックスマーラは、合繊の
ジャガードにコーティング加工をしていました。今シーズンは素材が重要で、デザイ
ンにおいてはあまり新しいものはありません。アルベルタ・フェレッティは、ベーシッ
クなタイトスカートでも、素材をラミネート感覚にすることによって新鮮さを出して
います。
◆BONDING & MOUSSE&PADDING
バレンシアガでは、クリストバル・バレンシアが好んだ素材と言われているムース
とカザールを裏地に多く使用していました。ムースという素材は、軽くて薄く、断熱
性があり、ブラジャーの裏地等に使われる柔らかいタッチの素材です。ダウンは今シー
ズンあまり出ていませんが、アンダーカバーでは、薄い中綿で凹凸感を出しています。
留め部分にドクロのマークやアクセントを付けていました。防寒ではな く、凹凸感
で面白さを出しています。
◆EXOTIC SKIN
クロコダイルやパイソン、リザード、うろこ等、今シーズンは全て登場しています。
全体的に、猛烈に薄く鞣されているということで す。洋服ではその薄さは分かりづ
らいですが、バッグなどの小物を手にとると、信じられない程軽量です。エキゾチッ
クスキンと言って も、ナチュラルカラーは減ってきました。ピンク味やパープル系、
黒、シルバーと、色味が必ず付いています。エキゾチックスキンは、以前にも増して
進展しています。
●パターン
◆ETHNIC PATTERN
パッチワークやアフリカン風のバティック柄、アジアンチックな柄等が出ていまし
た。アフリカン風のアクセサリーをプラスすること で、軽い雰囲気をだしたものも
あります。パネル風のプリミティブ、モダンアート風のペイントにアースカラーを使
いエスニックな印象を与えています。アフリカンプリントは、明るくシャンデリアの
ようなプリントが今シーズンならではです。他にもエスニックカラーをグラフィック
にまとめたもの、マドラス風のストライプは面白いで す。ゼブラやレオパードも黄
色やピンクを使ったり、ぼかしを効かせたりと、バリエーション豊富になっていまし
た。展示会でも、色やテクニック違いのバリエーションを揃えていました。
◆STRIPE & BORDER
春夏は、マリンやトラッドなものが多いですが、今シーズンはプレッピーなストラ
イプやボーダーは少ないです。ポップアート風に表現したものが多かったです。アニ
エスb.とジャンポール・ゴルチエでは、伝統的なフレンチボーダーを使い、アート的
な要素を取り入れた、ベーシックなものが目立ちました。モスキーノは、ラガーボー
ダーに、ピンタックシャツを合わせたようなものがありまし た。ちなみに、この形
はD&G等多くのブランドが出していて、カットソーと織りの襟を組み合わせたもので
す。春の立ち上がりにはたくさん出てくると思います。シャネルのボーダーは、テニ
ス風のパステルカラーの可愛いものです。
◆CHECK
先染め等、オーソドックスなものは減っています。ジャガードにプリントされたミ
ニマルなチェック、大胆なプリントチェック、オーガンジー等の透ける素材にプリン
トされたチェック等が新鮮と言えます。ウエアラブルなもので言うと、グッチのシン
プルなチェック。ショーの中盤にたくさん登場しました。ほとんどが白黒で、60年代
前後のアイビールックを思わせます。
◆FLORAL
今シーズンの花柄は、大柄のものと小さいものの二つに分かれました。ストーリー
性のあるイラストで描かれたもの等、アート感覚なものもありました。ドルチェ&ガッ
バーナはハンドペインティングで、マルニでは滲んだぼかし柄のようなものを1枚の
キャンバスにしてタックを入れたワンピースでした。巨大な花柄を使ったのはグッチ
とミッソーニ。グッチは、「アクションフラワー」と名付 け、コンテンポラリーアー
トからアイディアをとって花柄を抽象的に見せています。ミッソーニは、一つのアク
セントとして使っています。ジュンヤワタナベ・コム・デ・ギャルソンではリバティ
の花 柄。カントリー風の花柄のプリントで徹底的に70年代を打ち出したのはロベル
ト・カバリです。どちらも日本の市場に出てくると思います。50年代の仕立て服にも
見られるようなペインティング調の花柄は、懐かしさを感じるものです。特に、バレ
ンシアガや6267等の若いブランドで見ることができました。
◆MODERN ART
クロエとマルニは、ブラッシュストロークで描いたような柄で す。50年代のモダ
ンアートは、芸術の中心がヨーロッパからアメリカに渡って来た頃です。そのアメリ
カンモダンアートからアイディアを得たものもありました。プリングルやスポルトマッ
クス等のように、キャンバスに描いて、柄を見せる手法も流れの一つです。ぼかし、
にじみ、ゆらぎの描き方も面白いと言えます。ニナリッチは焦げ茶とライトグレーを
使って、ゆらぎのプリントをしていまし た。
大自然のイメージも外せません。マルタン・マルジェラでは、馬の蹄の音でショー
が始まります。天空を駆け巡る馬、荒れ狂う海にシャチが跳ねて船が揺れる、大地か
ら海までの世界を表現した、非常にメッセージ性の強いものです。アニエスb.は、アー
ティストを支援していることからも知られていますが、今シーズは、アーティストの
作品の一つをそのままプリントしたものを出しています。大空、森、野原。ショーの
会場の壁面は、バーチャルデジタルウォールを使って、大自然の中で服が存在するこ
とを見せていました。
アニメコミックも多く使われていました。モスキーノは、ストリートアートを思わ
せるスプレーでイラストが描かれていました。ルイ・ヴィトンではイブニングドレス
やTシャツ、バッグ等に、浮気現場を描いたようなイラストを入れています。アンダー
カバーでは大きな雲の柄。ジェレミー・スコットは工事現場のイメージで、手形が壁
一面に描かれていました。
◆CIRCLE & DOT & STAR
大きな水玉を使ったのは、ジバンシー。テーマは「グラディエーター」で、強い印
象です。薄い素材に鳩目が付いています。商品化するにあたって、鳩目を軽量化する
ために工夫をしているそうです。エトロも大きな水玉をアレンジしています。
フェンディは、10月13日に北京のブティックがオープンしまし た。そのため、
コレクションへの気持ちは北京に向けられています。中国では、円は切れ目が無いと
いうことで幸せの象徴と言われています。ことわざ通りに円形が使われていました。
立体的水玉も見られました。バーバリープローサムで は、コードをぐるぐると巻い
てレース状にしています。ジョン・ガリアーノは、プリントしたオーガンジーをコサー
ジュ風に巻いて立体感のある円形にしていました。
シャネルは、インビテーションカード、コレクション会場のカーペット、そして服
にまで、星を散りばめています。アメリカに対する思いが込められているそうです。
イヴ・サンローランは、「アイコノグラフィ」と称し、デザイナーステファノ・ピラー
ティ自らのアイコンとして星を、イヴ・サンローランへのオマージュとしてカサンド
ラマークを取り入れました。
●キーアイテム
◆JUST STYLING
テーラードジャケットを使った着こなしは重要です。若々しくリラックスした着こ
なしが提案されています。また、若いブランドではミリタリージャケット、キャリア
マダムブランドではサファリスーツが出ています。
今シーズンはアウターになるほど薄い素材を使用するのが主流で す。ランバンは、
「ライトネス」、フェザーライトウエイトの素材を使用しています。アウターとイン
ナーを同素材にして、まるでパラシュートクロスのようでした。トレンチコートとし
てはとても新鮮で す。ジルサンダーでは、オーガンジーでオーバーサイズの張りの
あるアウターを出していました。
◆BARREL DRESS
今シーズンもドレスは大変多かったです。ジルサンダーのドレス は、一見四角く
見えても、バックススタイルで綺麗なボリュームを出していることが分かります。グッ
チは、アシンメトリーなボリュームのあるドレスです。
◆COAT DRESS
ヘムラインをオーガンジーにすることで、どこかフェミニンで優しい印象を与えて
います。
◆SHIRT DRESS
タキシードを長くしたようなシャツドレスがランバン、ボッテ ガ ・ヴェネタ
で登場していました。今までのようなフレッピーなものではなく、たっぷりとしたボ
リューム感で、ラグジュアリーなフォルムが印象的です。
☆ティーチインスケジュール☆
■2008年1月12日(土)14:00〜
●高山 れい子さん 財団法人店舗システム協会 専務理事
テーマ:「2007年の流通業(小売業)の総括と2008年の展望」
※皆様のご参加をお待ちしております。
今年中はありがとうございました。
来年もよろしくお願いいたします。
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晩云繁とロシア繁が
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