伝統と文化
都市生活クリエータブログ

歴史都市ウィーンを規範に文化都市<東京>を見つめ直すフォーラム(吉村實)

吉村實(Joshimura Minoru)/建築家

パリのシャンゼリゼ通りやウィーンの環状道路が何故美しいのか何時も考えます。それらが建設されたのはたかだか150年ほど前です。大戦による被災後も再建しその美しさを維持しています。また1200年の京都、300年の江戸は町屋という衛生的な美しい町づくりが行われました。翻って現代の東京を見ると、機能美といいながら行政や企業側の論理で町が出来、何処も近似になっています。そこには一方の価値観で、市民を含めた共通の価値観が見いだせません。それは不便さも美学的に納得されるものであれば文化として意味を持つものなのに、エトス(社会全体の共有の美学)と呼ばれるものが議論されない社会風潮に原因があるかと思います。市民社会の形成時に芸術家が関与し独特の街を作り上げたウィーンをモデルに現代の都市/生活環境を考える広場にしたいと思っています。

2008ニューイヤー・コンサート

2008年1月10日

 今年もまた元旦にNHKでウィーン・フィルのニューイヤー・コンサートが放映され
ました。会場は楽友協会会館で、指揮はフランスのジョルジョ・プレートルでした。
83歳で過去最高齢の指揮者ということです。このコンサートは現地時間お昼の11
時15分からのようで、日本時間は19時からの放映で実況ということになります。
以前は録画されて放映されていましたが、それだけ魅力あるコンサートとして認知さ
れています。

%B3%DA%CD%A7%B6%A8%B2%F1%B2%F1%B4%DB.jpg

楽友協会会館全景

%C2%E7%A5%DB%A1%BC%A5%EB.jpg
大ホール全景 正面にウィーンフィル・オーケストラ


 このコンサートの楽しみは大きくは二つあり、一つは当然ながらヨハン・シュトラ
ウス・ファミリーや仲間達の作曲のワルツやポルカの演奏で、聞き慣れた曲ばかりで
はなく、初めて耳にする曲が演奏されたりします。指揮者の意向も入って選曲が楽し
みです。様々な主題で軽快に流れる楽曲は当時如何に市民を鼓舞し癒していたかが伺
えます。今年はフランスのオッフェン・バックやオリンピックのせいか中国を題材に
した曲が選ばれておりました。

%BB%D8%B4%F8%BC%D4.jpg

指揮はジョルジュ・プレートル

 
 もう一つは演奏風景ではなく別撮りされ挿入されるバレエの風景です。ウィーンの
街角や有名建築物、ウィーンの森といった施設を背景にウィーン国立歌劇場バレエ団
が舞います。背景は年によって変わります。ユーゲント・シュテルのオットー・ワグ
ナー設計の建物の前で踊ったりしたこともあります。その際、普段観光では見ること
の出来ない室内が紹介されるのがもう一つの楽しみです。建物、室内、庭園が連続し
て写されます。往々にして専門性で分割され断片的に紹介される我が国とは違って、
彼の地のスタッフは空間を一つとして捉えている美意識、文化性を感じさせます。今
年の中心はホーフブルグ(王宮)の裏のアルベルティーナで、新感覚のバレエという
雰囲気で男女のバレエ団が踊っていました。また特に今年驚いたのは、恒例の“美し
き青きドナウ“が演奏されると、一組の男女が楽友会会館の前で踊っていたのですが、
玄関から階段を上り、ホアイエで踊っていると思っていたら、そのまま扉の中に入り、
演奏中の観客席の通路で踊りだしたのです。まさしくライブな舞踏で驚きました。何
時も映される会場の楽友会協会の大ホールとそれを取り巻くホワイエなどの繋がりが
紹介された訳です。毎回演奏では何かしら驚かせる仕掛けがあったのですが、今年は
ダンスでした。そしてその後観客の手拍子で“ラディツキー行進曲”で締め、今年も
また充分に堪能しました。

%A5%A2%A5%EB%A5%D9%A5%EB%A5%C6%A5%A3%A1%BC%A5%CA.jpg

ホーフブルグの一角アルベルティーナの庭園の群舞

 
 タキシードで正装し新年を迎えるニューイヤー・コンサートの風景は、大人になる
ときのオーバン・バルという国立歌劇場の舞踏会と並んで市民に開かれたものになっ
ています。音楽や舞踏を含めた芸術への理解が市民の教養としてある文化的基盤が何
とも羨ましく、そんな思いをもって今年も見ておりました。

%B2%F1%BE%EC%C6%E2%A4%CE%C9%F1%C6%A7.jpg

大ホールの観客席で踊る二人

 余談ながら5日(土)のNHKで“探索ロマン世界遺産―ウィーン”を扱っていまし
た。19世紀中葉からの都市改造の環状道路建設に関わるお話しでした。それが前編
で後編は今週末12日(土)20時放映です。予告ではワグナーやクリムト等のユー
ゲント・シュテルが主題になっているようです。勿論楽しみにしておりますが、今年
はウィーンの文化性が見つめ直されるのかなと期待しております。

*写真はすべてNHK画面より

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL
 http://info-station.test-domain.jp/mt_admin/mt-tb.cgi/417

コメント

ノリ

ナノシャインの邦には討弔の

名前
e-mail
URL
コメント